2022年2月5日土曜日

手作り味噌が「持続可能」の鍵!?フードマイレージ、オーガニックを学ぶ出前教室

おいしい味噌はどこにいった?

あせ水流して、耕した畑に種をまき、自分で収穫した野菜を食べる。都会の人達は、こんな体験が、なによりワクワクできて貴重な経験だと思っていることでしょう。田舎の農家にとっては、昔からそれが当たり前で特別なことではありません。(でした)

昔からの農村の暮らしかたは、見えないところで自分たちの健康や周囲の環境に優しかったり、地域の独自の文化を育てたり、安定的な経済や安全安心につながっていたように思います。
味噌作りはその最たるものだと思います。

畑や田んぼの土手に豆をまき、米で麹を作り、味噌を桶に仕込む。
それがいろいろな関わりのなかで行われていました。

自給自足的な農家は、「もっと合理的に、もっと楽に」ということで、工業的な資材や機械を取り入れるなどして人手に頼らず多収できるテクニックを身に着けました。一世帯の人数が減少した今では、「自分で作るより買ったほうが無駄も無いし、意外とおいしいじゃん!」。おおかたそんなところではありませんか。

町に何件もあった糀店(味噌屋)は激減し、自分の家で味噌を仕込むことは殆どありません。共同で仕込んだもの(仕込み味噌)を買って自宅で熟成する、などはあります。インターネットで手作り味噌のキットを購入する方もいます。

他方では、味噌は無くても困らない。味噌の味が分からない。そういった方も少なくはないようです。

グルメ番組やインスタ映えする料理など、正直言ってビジネスや情報に振り回される食生活が蔓延しています。自分の手で食べ物を作ることからかけ離れてしまい、「食べ物ってどうあるべき?」なんてことから、どんどん無関心になっていくことに大きな不安を抱いています。

和食が脚光を浴びたりしている昨今、私達にとって「ほんとうのおいしい味噌」っていったい何なんでしょう。


立春の味噌煮会

令和4年2月4日は立春です。暦の上では二十四節気の最初の節気、言ってみれば一年の始まりのような日に、市内の小学校で、学習の一貫で味噌煮を行いました。たまたまかもしれませんが記憶に残る良い日です。ちなみに「味噌煮」とは味噌の仕込みのことをこう呼んでいます。

「無農薬、無化学肥料、手作りの発酵調味料づくり」をテーマに

昨年の初夏より、地元に伝わる大豆(もち豆)を学校の畑に蒔き収穫したものを、地域の米で作った米麹で仕込んでいきます。(妙高市上小沢集落、無農薬・無化学肥料の千田さんの米で麹を作る



20時間水に浸したもち豆。もち豆は大粒で緑がかり、帯が黒いのが特徴です

仕込みの様子

  • 10時に点火。浮いてきた泡をすくいます(左)
  • およそ2時間煮て柔らかくなった豆。食べてみて粒が残らず、ねっとりした感じまで煮ます。豆の緑色は黄色に変わり、湯は茶色でとろみが出て、豆の旨味が溶け出し甘い味がします。(右)

  • ザルで種水(茹で汁)を分け、豆を潰します。触感を体験するため機械は使わずに行いました(左)
  • 麹と塩を合わせたものと、冷ました豆をよく揉んで合わせます。種水も計量して混ぜます(右)

  • 味噌を玉にして詰めながら、しっかりと空気を抜きます。このあと重しを乗せて、発酵・熟成させます

SDGs、フードマイレージ、有機JAS(オーガニック)、麹歩合いろんなキーワードがあるぞ!

いっしょにこんなことを勉強しました

おしまいに、サスティナブル(持続可能)な暮らしに向けて味噌作りを

調理体験は一瞬で終わってしまい、食材のトレーサビリティや環境負荷のことまで実感できません。出来上がったものを試食するころには、視覚や味覚のほうに気持ちがいきます。
もちろん、全てが合わさって「おいしい」と思うのでしょうが、出来ればこのような体験を日常化して、自然体で感じるようにしていただきたいと思います。
必ずしも、いつも上手くできるとは限りませんし、そうした凹凸(おうとつ)こそ自然の証です。

手作り味噌を皮切りに

味噌は、発酵という、微生物と自然環境の力を借りた保存食でもあります。作物を貯蔵し、美味しく変化させ、身体に良い効果もあります。何より、大豆と米と塩以外に何も入っていないシンプルな食材なのに、味噌汁にしたり、料理に加えた時にびっくりするくらい美味しくなって、白いご飯とお味噌汁の「一汁一菜」や、おかずを加えた「一汁三菜」がこの上ないご馳走に感じるようになります。

味噌汁の出汁も、インスタントよりもできるだけ天然のものを使いたくなります。具も家庭菜園で採れた野菜や、顔の見える野菜を求めて食べたくなります。おかずもシンプルになります。味の濃い調味料で覆ったものは、白いご飯や香りの良い味噌汁に合わないのです。このように、手作り味噌というリーダーが他の仲間を引き寄せてくるような感覚です。

小さな発見が嬉しくなります

自分で味噌を仕込むようになると、時間がたった味噌の味の変化に敏感になります。塩辛さが抜け、色は濃くなりますが、微妙な酸味や渋みが出てきてこくのある味噌になっていきます。若い爽やかな香りの味噌、古い深い味わいの味噌、それぞれに合わせて料理を作るのも楽しいですし、仕込み材料の配合を変えたり、麹も自分で作りたくなります。

そうこうして、身の回りのものと春夏秋冬、大地、人や生き物の皆んながつながって巡っている地域の恩恵に、感動や感謝の気持ちがあふれてきます。
手作り味噌はそんな存在です。

最近の記事

「SDGsで御用納め」Lunch of the future!!